タイム・リミット~陽斗サイド~
「陽斗先輩?」
「あ、奏心-かなみ-」
「……部活、遅れますよ?」
立ち止まってたオレに声をかけてきたのは後輩の木野奏心。
小柄で愛嬌のいい顔と声は陸上部のマスコット的存在。
くだらないことでみんなを笑わせて、温かい空気を作る。
でも、走ることになると別人。
一点を見つめる真剣な眼差しと集中力。
何よりも奏心のフォームは抜群にキレイ。
オレも憧れるくらいキレイなフォームで走る。