タイム・リミット~陽斗サイド~
優斗がオレを見上げる。
「何なんだよ、それ。お前、若葉のこと、好きなんだろ? だったら……」
「つーか、何が言いたいわけ? ゆっとくけど、土曜日、若葉を連れてきたのはお前だろ? 連れてこれば、こういう結果になったことも分かってたことだろ?」
優斗が大きくため息をついた。
「オレにムカついてお前が何をゆってもいいけど、それで傷つくのは若葉だぞ?」
……んなこと、分かってるよ、お前に言われなくても!
オレが本当の若葉の幸せを望んで、若葉の誕生日には優斗と引き合わせた。
17歳の若葉の誕生日。
これがオレにとっては区切りだった。
いや、多分、優斗にとってもそうだったと思う。
毎年、優斗は若葉に何もあげてないみたいだったけど、17歳の誕生日にはプレゼントを用意していた。
二人がくっつくのは確実に分かってたことだ。
若葉の気持ちも、優斗の気持ちもオレは分かってた。
オレもそれを承知で優斗に水族館に行くように仕向けて、若葉を連れ出した。
あの時は、本当に二人が上手くいくといい……そう思ったんだ。