タイム・リミット~陽斗サイド~
「……陽斗先輩には上手くいって欲しかったな……」
ポツリ、奏心がそう呟いて唇をかみ締めていた。
オレだって若葉のこと、手に入れたかったよ。
でも、あいつの心はそう簡単に動かなかった。
多分、あの頃の約束を覚えてたとしても、結果は同じだったと思う。
あの頃と違って今は自分の意思があるんだから……。
間違いなく、若葉は優斗を見てたから――。
開放的な空間でオレと奏心は言葉を交わすこともなくただ、空を眺めていた。