隣の女
宮坂が言った通り家庭科室に行くと鍵が開いていた。

「だからか。」

俺がそうつぶやくと、宮坂はくすくすと笑った。

家庭科室は教室から少し距離があった。
俺と宮坂が教室から家庭科室に向かう間俺は
「なんで家庭科室なんだよ。」と何回も聞いたが宮坂は答えてくれなかったのだ。

そして、今謎が明かされた。

「家庭科室はいつもあいているの。鍵がないらしい。」

宮坂はそう言って家庭科室に入っていった。
俺も後に続いて中へ入った。

「ちょっと手を洗ってくる。」

宮坂はそう言って弁当箱を机に置き、部屋を出て行った。

俺は不思議に思っていた。
今、宮坂は顔を隠すためにメガネとマスクをしているのだ。
そして、教室で昼食を食べたくないといったのはみんなに顔を見られたくないからだろう。
なのに、なぜ俺とは食べられるんだろう。
友達と言っても異性だぞ?
もし、ここにいるのが俺じゃなかったら、宮坂は襲われていたかもしれない。
そう考えるとぞっとする。
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