隣の女

全て演技だった

ご飯を口に運んでいると、宮坂が口を開いた。

「ねぇ、あたしの顔見たとき気が強そうな顔してるなーって思ったでしょう?」

「っうん。」

俺は宮坂のいつもと違うしゃべり方に驚きながら返事をした。

「あたしね、この自分の顔にコンプレックスがあるわけじゃないの。」

「え…?」

俺はこいつを見たときからずっと自分の顔が気に入らなくてマスクとメガネをしていたのかと思っていた。

「もし、コンプレックスがあったらあなたにこんな堂々とマスクとってメガネとって髪型を変えたりしないもの。」

「そういわれてみれば…。」

「あたしが顔を隠して暗そうな女でいたのは、一之瀬君がそうしてほしいって言ったからなの。」

まさか、琉希亜の名前がこいつの口から出てくるなんて思いもしなかった。

「あたし、一之瀬君んと付き合ってるんだ。でも、今の関係は別れる寸前って感じ。」

宮坂は悲しそうな表情を見せず、俺に真実を話した。

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