隣の女

「だけどね、あたし全然悲しくないの。嫌だと思わないの。なぜだと思う？」

急に聞かれて戸惑う俺に宮坂はくすっと笑った。

「一之瀬君ね、あたしがいるのに浮気したんだ。」

「浮気…？」

「そう。他の女とキスしてた。あたしはたまたま見てしまった。」

「そうなんだ…。」

「だから、悲しくない。だけど、このまま別れるなんて嫌なの。」

「はぁ？」

急に頭の中が混乱した。

「あたしと同じ思いを一之瀬君にも味わってもらう。だから、有川君、あたしに協力してくれない？」

そういった宮坂は真剣なまなざしで俺を見つめた。

「どう協力すればいいわけ？」

俺は聞いた。

「放課後、あたしたちはここにのこる。そして少し経ったら一之瀬君をここに呼び出す。そして、あたしらはキスをしているふりをして一之瀬君を騙すの。協力してくれるよね？」

俺はこの返事を…