さよなら自転車
「転校先でさー、あんた好みの可愛い女子いると思う?」


肩越しに尋ねてみた。

健太はいつも自分のクラスの女子はイマイチだって言う。
それに加えて自分の彼女には絶対可愛い女子が良いとも言ってた。
その度にクラスの女子が敵意のこもった眼で睨んでいるのに気が付かない
お気楽な奴。
でもあんまりにもあっけらかんと言うから、後々までその敵意を響かせることはない。
キャラクター勝ちなのか人徳なのか、得な性分なのには変わりないかな。

「いたら良いよなー。あ、でも俺ずっとここでイマイチ女子ばっかり見てたから、あんまり可愛い子がいたらビックリして鼻血だしちゃうかも」

「うわー、そんなん見せつけられたら絶対ひくわー」

「まあ、野田はまず見ることないから安心だな」

「ザ・平均ですからね!!」


ザ・平均。これは健太の私に対する見た目の評価。……ブスとか言われるよりも地味に酷い気がするのは気のせいかな。
否定はしないけどね。
私は太ってるわけじゃないけど、モデルみたいにキレイな体型でもないし
線だよね?ってくらいに細い目ではないけど、アイドルみたいなキラキラしたパッチリ目でもない。
平面なわけではないけどグラビアアイドルみたいな胸はないし……
良くもなく、悪くもなく、本当に平均という言葉がよくあてはまる。


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