先輩と私と。
「もー、泣かないの」



先輩はそういって、



ベッドから降りて、




勉強机のイスに座っていた私の隣に来た。





私は涙を止めようと、


必死に目を押さえていた。




手の甲で涙を拭う。




でも、





いくら拭っても、それが止まらなくて、






止まる方法を私は知らないから。









零は、そんな私の腕を掴んだ。




「さっきの撤回。泣きたいんなら我慢しなくていいと思うよ」





「ね、ねぇ」





「ん?」




「千愛ちゃんの、考えてることがわかんないの。何がしたかったのか全然分かんなくなっちゃったから」





「人の考えてることなんてわかんないよ。まぁ、分かりやすい人とかはいるけど」






「私ね、千愛ちゃんはそういう子だと思ってた。すごく分かりやすくていい子だと思ってた。でもね、それは全部千愛ちゃんの演技だったと思うの」





「演技?」




「うん。全部ホントの千愛ちゃんじゃない千愛ちゃんが私たちの知っている千愛ちゃんで、千愛ちゃんの妹ちゃんが知ってる千愛ちゃんがホントの千愛ちゃん」





涙は消えてなくなった。




「でも、それを莉生が気にすることは無いのかもよ。千愛ちゃんが勝手に自分を作ってたんでしょ?」



「違うよ」




私は即答する。




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