先輩と私と。
ここに来るのは始めて。





だけど零はよく友達と来るんだって。




だから、迷うことなく、映画館に着いた。




ずっとずっと私の手を繋ぎながら少し前を歩く零が、





やけに大人に見えて、




こんなに近いのに、少し遠く感じた。





「何見るの??」





私は零に尋ねる。




「何がいい??」




「え、決めてないの??零が決めてるんだと思ってた...」




「何でもいいよー」




「えー...」





ずらっと並ぶパンフレットを見て悩む。




零は気長に後ろで待っていた。




「何がいい??」




悩んだ挙句に人に投げかける。




「じゃあ、これ」





迷うことなく指したのはホラー映画。




聞いたくせに反論はできないから、



「うん」




と言った。




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