先輩と私と。
「莉生!!莉生」



「なぁに」





男の子のようながらがらの声で返す。




話しかけてきた子はすこしギョッとしていた。





「先輩!!会長走ってるよ」




「ウソ!!?」





グラウンドを必死に探す。





その特徴的な走り方はすぐに見つかった。




リレーらしい。





アンカーのところに立っていた。





「零!!!頑張れ!!!」





こんながらがら声、届くはずもないのに。





ダメもとで、周りの歓声にかき消されながら必死に零を応援する。






零にバトンが渡る。




2位だった。




前とは結構あいていて、




私なら絶対追いつけない。





だけど零は、




いとも簡単に追いつき、追い抜き、




置いていってしまった。





1位になって私の前を走る。




だから




「零!!!頑張れ」




と必死に言う。





零は一瞬振り向いてくれた。





走り終わってから零は私のところに走る。



「莉生、ありがと!!」




まだ綺麗な声で言う。




あんまり声は出したくなかった。




「めっちゃ枯れてたけど」





どうやらばれているようだ。




「えへへ....」





周りの歓声は私たちを冷やかす声に変わっていた。




< 344 / 446 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop