先輩と私と。
「莉生、早く持って」




後ろから零に急かされて、




マイクを持った。




ただ単に、一緒に歌うだけ。




でも体制がそのままなのが、恥ずかしくて心臓が止まりそう。





零は私より1オクターブ下で歌う。




低い声がかっこいいんだ。




たまに耳元で零の息がかかる。




髪の毛が触れたり、




肌が触れたり、




歌っている場合ではない。









「莉生ちゃん、じょーず!!!」




知らない先輩から言われて、




にっこりと笑った。





後ろからキツイ目線が降りかかっていたけど、気にしない。





「ロングトーン上手かった!!!」





部長に言われて、嬉しかった。






「ホントですか!!!吹部の肺活量です!!!」





なんて喜んで、何気なく零から逃げようとしているんだけど、





零は隙を見せることなく、その腕を離してくれない。






「肺活量ドヤだね。運動部に劣らないしー」





零にイヤミを言っていた。





そして次の曲が始まる。





誰かにマイクを渡すべく、と言う名目で逃げようとするけど、失敗だった。





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