先輩と私と。
知らない男子の先輩が高得点を取ろうとして熱唱している。





その横で零としゃべっていた。





「莉生、めっちゃ上手かった」




「ホント??零も上手だった」





「あれだね。ロングトーン??吹部だからこそでしょ」




「うん!!!毎日24拍やってるもん」





「24拍?何それ」




「24秒同じ音を息吸わないでずっと伸ばすの」





「え、死ぬじゃん」




「生きてる!!!」




零はハハッと笑う。




熱唱中の先輩に睨まれていた。






「低い声がかっこよかった!!」




零は一瞬顔を背けた。





今だ!!と腕を抜けようとすると、





あまりにもするりと抜けてしまう。





「やった!!やっと出られたぁ」





悲しそうな、惜しそうな、そんな顔だった。




いつまでもそんな顔をしているから、心配になる。





「イヤだった??ゴメン」





「うん。イヤ。おいで」





零は両手をいっぱいに広げる。





だけどその前に後ろから誰かに襲われた。





「ダーメ。莉生ちゃん襲うんじゃない!!!」




部長だった。



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