先輩と私と。
「お前こそ襲ってんじゃん」




そうケラケラと笑って、



ソファーに座りなおした。





部長はすぐに私を離してくれて、



だからまた端っこに座ってちょびちょびジュースを飲む。





でも、つまらなくなかった。




零がたまにこっちを見てくれるから。





ニコって笑ってくれるから。





だから何も歌わないで端っこで座ってても楽しいんだ。










携帯の時計を見ると、もう9時を過ぎていた。






さすがにやばいかも、と思っていると、





「帰るか」




と零が私にだけ言った。




「え、いいの??」




「みんなは10時までいる。補導ギリギリ。親に言ってあるから大丈夫なんだけど。莉生はそろそろやばいかなーって。さっき時計見てたんだろ?」




「うん。だけどなぁ。しらけちゃうよね」





「ククッ、大丈夫だよ。んなことでしらける奴らじゃねーよ」




「じゃぁ.....帰ろっかなぁ....」




「ん。じゃ、俺ら帰るから!!!!」





零は大声でみんなに言う。




「え、え....あ、」





そんなつもりは無かったのに。




1人でこっそり抜けるつもりだったのに。





「じゃーねー」




みんな、それだけで、手を振った。




「.....いいの??零はもっと遊んでたら...」




「いーよ。俺も帰る」




「え、え、....え」




おろおろしていたら、ハハと笑う。



「1人いくらだったっけ?」




と斜めにかけて背中までしかない小さなバッグからお財布を出した。





「わかんなーい」




となんとも適当な答えが返ってくる。




そして誰かが「全部で1400円」



と言う。




「7人だから...1人200円か」




私も払わなくちゃ、とかばんからお財布を出す。




だけど零はすんなりと、100円玉を4枚出した。




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