先輩と私と。
あぁ、早く帰らなくちゃいけないから、今だけ出してくれるんだ、と納得して、





そのままカラオケを出た。





外に出るまでお財布を握っていた。




真っ暗な道で私は100円玉を探す。





やっと見つけた2枚目で、それを零に差し出した。





「200円」




零は暗闇で驚いた顔をした。



すぐに顔を和ませる。




「いらないよ」




「えぇ!!ダメ!!!」




はいっ、とそれを出す。




零は鼻で笑った。




「いらないって」





「いる!!!」




「いらない」




「もー...なんでそんなに頑固に...」



「莉生こそ」





「でも、でも」





受け取ってくれそうにないし、どうにかねじ伏せようかと思うけど、その案も浮かばない。







「じゃあ、こんどまた、デート行こう」




「え、あ、うん!!!」



どうも文が繋がっていないけど、デートに行きたくてうなずく。






でもそれで丸め込まれたことに気がついた。




「騙したぁ...」




「騙されてやんの」





「まぁ、いいや」





とそれをお財布にしまう。




家に着くと、電気が点いていなかった。




「どうしよう...鍵持って来てないよ!!」




そういいながら恐る恐る取っ手を引っ張る。





ガツン、と鈍い音がした。




「イヤァ...やばい」



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