先輩と私と。
そうぼやきながらピンポンを押した。





しかしながら、誰も出ない。




「莉生んち、寝るの早いねー」





「ね」




と笑いかけてみる。





笑っていても、内心はひどく心配なんだ。






玄関前の階段に座る。




携帯を取り出して、お母さんに電話してみた。





零が横に座ってくれた。




「..................」






ダメそうだ。





諦めてそれを切り、お父さんにかける。





「...............」






「どうしよう、真面目に」





「いや、ホント、どうする」




「どうしよう!!!」




「んー...ずっとここで待ってても寒いだけだし...」




零の言葉で気がついた。




用もないのに、そこ零が座っていること。




「零は帰っていいよ!!なんとかなる!!」




笑顔を向けてみた。




「帰んない」




「えー...」




とまたお母さんにかける。




『...........もしもし』





「もしもし!!あの、今、家の前なんだけど!!鍵開いてなくて!!鍵持ってなくて!!あけてくれる?」




『あぁ.....うん』





頼りのない、眠たそうな声で電話を切られた。





「よかったぁ」




と零が言う。




「ホント!!もー...」




ガチャ、と鍵が開いて、お母さんが出てきた。



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