先輩と私と。
暗闇のせいで零のことは見えないらしい。




何も言葉を発さずに、ドアを開けて、中にひっこんでしまった。








「今日はありがと!!!じゃーね」





と手を振る。





確かにその位置から、零は見づらい。





「じゃーな」




とその声だけが聞こえた。





「あ、」





忘れていた。





「受験、おめでと!!!また2人でお祝いしよ!!」





多分零がいる位置に向かって叫ぶ。




「おう!!」




街灯で、零が振る手がちらっと見えた。












るんるんで家の中に入ると、





激怒な顔をした父親が。





「た、ただいま」




「おかえり」




その声は怖くて低い。





でも、零みたいにかっこよくないんだ。





「何してたんだ。こんな時間まで」




「カラオケ...?」






「危ないじゃないか!!!何かあってからじゃ遅いんだよ!!!」





「だいじょーぶ。送ってくれたよ」





そういって、まだぶつぶつと何かを言っているお父さんを無視する。





「あ、何で電話出てくれなかったの?」





「電話?あ、携帯、電源切った」






「えー、入れといてよー。娘からの連絡が何時あるかわかんないでしょ!!!」





偉そうにびしっと指を指す。




「あ、そっか」





それだけ言って、電源を入れる。





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