先輩と私と。
「それでは、本日のソロコンテストの結果を発表いたします...」





隣には梨乃。





百合は会場が別だから、1人で悲しく分かれた。






関節が炎症を起こしかけた手。





その手を強く握る。





大丈夫。





いい賞取れるよね。






「宮武梨乃......優秀賞」





「やった」





あんまり大声では喜べない。





叫んじゃうと、発表の妨げになるとかで。





アンコンのときもそれで、睨まれてたしね。





だから小さい声で言うだけで、喜びを噛み締める。





あとではしゃごう、と考える。






ソロコンは金銀銅では表されない。





優良賞、優秀賞であらわされる。




もちろん優秀賞のが良いわけで。




梨乃は目頭を押さえながら賞状を受け取りに行く。





あとでいっぱい泣けるから、私は出てきそうな涙を必死に押さえる。








「以上で、ソロコンテストを終了いたします....」





梨乃と目を合わせて外に出る。




パッと輝いている笑顔だった。





目は赤い。




「やったぁぁぁ!!!!」




廊下で手を握り合って喜ぶんだ。





「やった!!!やった!!!どうしよ。私、死んじゃう」





そんなことを言いながら窓の外を意味深に眺める。




「ちょい、百合のとこ行こう」





「あ、うん」





腕をひっぱって、百合がいる会場に向かう。




ちょうど、その会場から涙を流して出てくる百合。




顧問は神妙な顔つきで後ろから出てくる。




ダメだったのか、と思って、




今まで散々喜んでいたのを後悔しそうになる。




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