先輩と私と。
でも、





毎日を慎重に暮らしても、





卒業式はすぐそこで、







もう、今日、になってしまう。






第一ボタンを閉めるのはやっぱり首が暑苦しい。





アイロンをかけた制服。




入場の拍手を身にしみ込ませながら、






自分の席に座る。








いつもの木のいすじゃない。






パイプイス。





もう、在校生じゃない気がして、いやだった。






「在校生送辞」






そういわれて出てきたのは、





俺の次の会長。





壇上の俺の前に立つ。





気づかないぐらいこっそりと俺に笑顔を向けた。





そいつが言う、硬い言葉。






マニュアル通りの、紙に書いてある言葉。





それでも、嬉しい。





ちょっとしたことで感動する。






あ、こいつなら、ここ守れるな、って






根拠もないのにそう思う。






俺の目を離してはくれなかった、





その会長は、





緊張して、言葉を並べるだけで精一杯。




その中で一生懸命に伝えてくれる姿。





大丈夫ですから、って。





安心してください、って。





そういう言葉が何度も出てくる。





俺の目を捉えて離さない。




離そうとなんかしていない。






それを伝えたくて、





だから、こんなにも真剣になれる。






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