先輩と私と。
百合はぎこちない動きでみんなの前に立つ。




ぎこちなく礼をして、




リードを精一杯なめて、




うなずいた。





隣で顧問がストップウオッチを押す。





今更どうしようもないのに、時間を計ろうとしているみたい。










始まる緩やかな旋律。





「モノにしたぜっ」と言っていた高音を吹けば、





もう、エンディング。





ラストスパートの連符を顔を真っ赤にして吹き鳴らす。





音程がどうしても合わない、と嘆いていた最後の伸ばしを、






最高の音程で吹きって、





口から楽器をはずし、





またぎこちなく礼をする。






あげたその顔は笑顔だったから、





きっと、良く出来たのだろう。





大きく深呼吸をしながらその場を去っていく。





ストップウォッチがカチッ、と音を鳴らして、





顧問の顔もにこやかだった。




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