もう一度愛を聴かせて…
   ◇


あのあとも、たくさんの大変なことがあった。

すぐに入籍して、式はクリスマスにって決まったけど……。


彼のご両親は、とくにお義母さんがわたしのことを認めたがらなくて、とうとう彼は妊娠に至る顛末を両親に話したのだという。

結果、彼はパンダのような顔をして、ご両親と共に挨拶に来た。

お義父さんはうちのお父さんと一緒で、曲がったことが大嫌いらしい。


「子供のために妥協されるなら、心配は無用です。あなたもお子さんも、私どもで面倒みさせていただきます。遠慮なく、この愚息を刑務所に叩き込んでやってください」


そう言われたけど、丁重にお断りした。

だって、彼のことを愛してるから……怖かったけど、許そうと思えたのだ。


でも、十七歳の身重の花嫁って、警察的にはNGらしい。

彼は来年一月付で、地方の小規模警察署の係長待遇で配置転換が決まった。もちろんわたしも付いていくんだけど。早く言えば左遷、地方に飛ばされたというヤツらしい。

お父さんもお義父さんも、自業自得だと言って知らん顔だ。



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