イケメン女子の学園生活2
仕方なし、風と鳥の音を聞き目を閉じる
少しでも…音楽、“音”を感じていたいんだ
『…あ、いた』
「……」
ザクザクと歩く音に嫌な予感はしたが、黒崎だ
嫌すぎる
族よりはマシとは言え、嫌すぎる
『何でんな嫌そうな顔すんだよ』
「嫌だからだ」
前髪越しに睨むと黒崎ははぁ、と溜め息をついた
『昼、準備出来たぞ?食わねーの?』
昼…ねぇ
「いらねー」
『何で?』
「童顔と食いたくないし、腹へってない。音楽ねーし」
『音楽…?』
俺の言葉に一々首を傾げんなよ、うぜーな
……ん?
いや、待てよ
黒崎を利用すれば俺のiPodが返ってくるかもしれねーぞ?
コイツ、優等生だし
「……なあ、黒崎…」
『?どうした?』
「………っ!」
『!?顔色悪いぞ!?大丈夫か!?』
ウッと口に手をあて、屈み込む
キツそうに吊り上げた口で俺は言った
「俺のiPodが…っ!」
『!お前のアイポッ………ん?』
「俺の大事なiPodが取られたんだ!」
ウゥッ!
崩れ落ちた俺に、黒崎はポカンと見つめてくる
ハッ!
「俺には、アレがないと駄目なんだ。持ってきてくれ!黒崎…!」
どうだ、俺の演技は完璧だろう!?
これで、俺のiPodは形見か何かでそれがないと駄目!みたいに見えただろう
さあ、持ってこい!