イケメン女子の学園生活2


『……うん』

「……うん?」



うん、と言った黒崎は動く気配なし


『…いや、持ってこいって言われてもな…無理』

「なっ!」

『どーせ教師に取られたんだろ?なら返して貰えるまで待てよ』

「………」


チッ


ウゼ〜



『って事でひるめ…』

「いらねー」

『……は?』



五月蝿いな、黒崎

iPod取り返せねーんなら、お前と話す意味もない



両手で耳を塞ぎ、目を瞑る

五月蝿い黒崎の声が聞こえないように……




『………、……』


聞こえなーい


『……。…〜〜♪』


………ん?

暫く何か考えた黒崎から微かにリズムが聞こえてきた



『お〜きなくりの〜きのしたで〜あ〜な〜た〜と……』



はぁ!?


手を耳から離すと短調なリズムで歌う黒崎

なんで大きな栗の木の下で、なんだよ!



『わ〜た〜し〜、な〜か〜よ〜く〜あそびましょ。おおきなくりの、……はあ、疲れた』

「いや、最後まで歌えよ!!」

『お』



あ、しまった


反応しちまった


いやいや、でも最後のきのしたで〜くれーは歌えよ!


『…なに、お前オレのソング気に入った訳?』

「……ち、ちげーよ。五月蝿いから気になっただけだ」

『へー。ほー。ふぅーん』



なんだよ!

そんな目で俺を見んな!




……まあ、確かに黒崎の歌は悪くはなかった

男にしては少し高めの滑らかで綺麗な声


童謡の短調なリズムにも溶け込む優しい…………って、おいおい


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