イケメン女子の学園生活2
「それから…今は高校の近くのアパートで一人暮らし。バイト三昧でな」
そう言うとフッと鼻で笑った
〜朔月side〜
イヤホン君の過去は残酷だった
暗い瞳の裏には濃い闇があった
絶望にそまったそれは自分の昔にそっくりだ
『…、忙しそうだな』
「んー、まあな。忙しいったら忙しいか、な」
力なく笑ったイヤホン君は両手を耳に当てた
「…こうやると、聞こえてくるんだ……、エンジンの音と弟の声と…親父の、声が」
目を瞑りそう言ったイヤホン君は儚げで
目を離したら消えているんじゃないかって思った
オレも孤独はよく分かる
イヤホン君の感じる孤独は分からないけど、苦しみは分かる
だけど……オレの場合は同情して欲しい訳じゃなかったから
消えてしまいたいくらいの時に欲しかったのは、
『…頑張ったんだな』
一緒に考えてくれる、人だったんだ
理解して欲しい訳じゃない分かって欲しい訳じゃない
…理解できるとも、分かってくれるとも思ってないから
「……、頑張った、か。俺は逃げたんだ。親父から……家から」
『逃げてないだろ』
「……は?」
悲しそうな瞳のイヤホン君を、オレは心から助けたいと思った