イケメン女子の学園生活2


オレはイヤホン君の目を見詰めながら口を開いた


『…、オレはイヤホン君は逃げてないと思う』

「何言ってんだよ。逃げただろ」

『…要は気持ちの持ちような訳だ。逃げた?違うな。オレには、ただの助走にしか聞こえなかった』

「……」

『喧嘩だって、避けるだろ。当たると痛いから。けど、それは逃げじゃない』


決して逃げが悪い事じゃないと思うけど

イヤホン君の場合は逃げをマイナスに考えすぎだ



逃げた事が負い目に、トラウマ化しているのなら、“逃げ”を消してしまえば良いんだ


「…助走……」

『あぁ。だから、イヤホン君の気持ちが生理出来たらで良い。そしたら向き合えば』

「……あ、あぁ…」



クシャリと顔を歪ませたイヤホン君の目は少しだけ、光が入った気がした





『イヤホン君が無理ってんなら、オレが守ってやるよ』

「…ハッ…ギザな男だな」


元気よくケラケラ笑ってからありがと、と静かに言った

照れたように俯きながらなもんだからなんだか可笑しくて


オレも笑ってしまった



「じゃー取り合えず、童顔どーにかしろ」

『え?泪なんかしたのか?』

「ああ、五月蝿い」

『…我が儘言うな』

「助けろよ!」





まだイヤホン君の闇が消えた訳でもなければトラウマも消えてない


…けど、

オレが少しでも力になれて

イヤホン君に少しでも元気を与えれたら良い……




………全くもってギザな男だな

オレは




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