イケメン女子の学園生活2
野外活動―最終日―
――――……
『だからイヤホン君はイヤホン君なんだな』
「はあ?」
『分かった、イヤホン取り返してきてやるよ』
「…いや、いいよ」
『えっ何で?』
演技までしてオレに取りに行かせようとしたのに
「んー、まあオレは五月蝿い音が嫌いだけど、無音も嫌いな訳。で、ずっと曲を聴いてたんだけど…昨日と今日、色んな音を改めて聴いて、そんなに悪くなかった」
『……、そうか』
「あぁ。こうしてお前と話すのも悪くない。新しい音を探すのも…悪くない、な」
そう言ったイヤホン君は前髪をかきあげた
『良い事だな』
「まっ、返されたら付けるけどな。少しだけ周りの音を聴くようにするさ」
ニヤリ、とオレに笑ったイヤホン君は自分の前髪を掴み、切ろうかな、と呟いた
イヤホン君にとってもっと良い音が聴けるといいな
『…なら、もうイヤホン君じゃないな』
「イヤホンはまだ付けるって。…つか、俺の名前は…」
「こらぁぁ〜〜!!!!」
木の丸太に座りながら話していたオレ達の間に高い声が響いた
瞬時にイヤホン君の顔が歪みオレはクスリと笑った
「さぼっちゃ駄目ぇ!」
………そう、今の時間は休憩タイムじゃあない
“宝探し”タイムだ
『や、探してる探してる』
「探してなぁい!後ろ向いたら誰もいないからビックリしたじゃんかぁ!」
宝探しに対しハシャグ泪を二人でまいたのはさっきの事
昨日のアレで疲れているオレ達は見事にサボってる