イケメン女子の学園生活2
「…大丈夫か?」
校門に向かう途中、翔が心配そうにオレを見た。
取り合えず執事に迎えの連絡をしてからオレも翔を見る。
『…オレは、な。だけど、要には悪いことをしたな…』
「……いや、そんなことはない。…朔月は悪くない」
『ありがとな。けどさ、オレを要求するってことは多かれ少なかれオレが関係すんだろ?…要にかりが出来ちゃったな』
オレが無理やり笑顔を作れば翔は眉間にシワを寄せ俯いた。
気まずくて目を剃らしながら、素手に来ていた車に近づく。
「…お疲れ様でした、どうぞ」
『あぁ。翔、先乗れ』
無言で頷き車に乗り込んだ翔。
それを確認してオレも乗り込む。
暫く車内は沈黙が続く。
そして、一言も話すことなく家に到着。
翔はどうも居心地悪そうにしている。
…、オレに気を使っているのかもしれない。
確かに、多分、今のオレは翔よりも落ち着かない。
知り合いのあんな姿の写真を見て落ち着いてなんて居られない。
今すぐ飛んで行けたらどんなに楽だろうか。
でも…これ以上……オレの自分勝手で行動してはいけない。
「…着きましたよ?朔月様」
車のドアを開けた執事がオレを覗き込む。
翔を誘導しつつ、車を降り、家に入る。
部屋に入れば、執事がとうとう聞いてくる。
「で、この子は、お泊まりで?」
『…翔、どうする?』
「……。そうだな…今日は、俺も倉庫に行くから帰る。…迷惑かけマス」
ペコリ、と執事に会釈。
律儀だな、と改めて思う。
『じゃあ、晩ごはんは食べて行けよ』
「…サンキュ」
「りょーかい」
何かを感じとっている執事はそう言うと部屋を出て行った。
「…朔月、聞くって、兄さんにか?」
『よく分かったな。そうだよ、兄さんならなんか知ってるかもしれない』
「…そうか」
『今から呼んで良いか?翔にも聞いててほしいし』
「勿論だ」
コクりと頷いた翔を見てから、オレは兄さんの部屋に向かった。