イケメン女子の学園生活2
「どうぞ?」
兄の部屋をノックすると気の抜けた返事がした。
開けると、不思議そうに首を傾げている。
『兄さん、ちょっと良いかな?』
「うん…?良いけど…どうした?」
『…とりあえず、部屋に来て欲しい』
「…分かった」
オレの様子がおかしいのが分かったのだろうか。
いや、鋭い兄の事だ。
絶対気付いてる。
部屋について、とりあえず粗方の概要を説明した。
翔は何か言いたげに、けど黙って聞いていた。
「…成る程ね。確かに、その変の事は確かに朔月の仕事じゃないからね」
『…あぁ』
「うーん、でも少ない訳じゃないから直ぐは分からないけど…でも、その写真でちょっと絞れると思う。翔くん、写真もらっても良いかな?」
「ハイ」
「じゃあ、調べてくるね」
『…、ゴメン』
「なんで朔月が謝るの?大丈夫だよ。あんまり思い詰めないで。俺も協力するから」
兄さんはそう言うとポンポンと頭を撫でてから部屋を出ていった。
どうやら、いくつか思い当たることがあるのかもしれない。
色んな人に迷惑をかけてしまった…
胸がくるしくなり拳をきつく握りしめると、後ろから手が伸びてきて。
ギュッと抱きしめられた。
『…翔?』
「……朔月、大丈夫だ。大丈夫だから…もう自分を責めるのは止めてくれ」
『ゴメン。止めれない。こうやって…心配されることすらおこがましいんだ』
オレに絡む翔の腕を剥がそうと触れると、ギュッと拘束が強くなった。
「俺等じゃ頼りないか…?」
そうして、悲痛な声が頭の上から降ってくる。
なんで。どうして。
色々な後悔と焦りがオレの中を回る中、翔の言葉だけがハッキリと入ってきた。
『違う。そうじゃ…』
「確かに何の保証もないかもしれない。俺の…大丈夫は。……けど、要は必ず助け出す。だから…お前はいつもの…強い朔月になれ。その方が早く助けれる」
翔の心音が心地よく聞こえる。
翔の温かい言葉に空回りしていたオレの心が落ち着きを取り戻していった。
焦っても、後悔しても、心配かけても、迷惑かけても。
今、できることは限られている。
それなら…
『…翔、ありがとう』
「……。いや。」
『ちょっと久しぶりにネットサーフィンする。なあ、翔ちょっと協力してくれ』
「分かった。それでこそ朔月だ」
翔にしてはよくしゃべったな。
それほど、オレの為に頑張ってくれたんだな。