イケメン女子の学園生活2
~朔月 side~
おっさん達を追い出した今、オレは光輝と二人、幹部室にいた。
調べて分かったことを話すと、光樹に呼ばれたのだ。
『…』
しかし、何かを考え込むようにして座った光樹は沈黙も続ける。
声をかけられずに居心地の悪さにヤキモキしていると、ふと携帯が鳴った。
「…出ろよ」
『あ、あぁ…』
咄嗟に光樹を見たら許しが出たので相手を確認する。
そこには、要の表示。
『っ!!』
慌てて電話に出ると、がやがやと遠くからの話し声が。
意味が分からない。
これは本当に要がかけているのか?
そんなオレの疑問を察知してか、ククク、と笑い声。
『…誰だ?』
「んーこの携帯の持ち主じゃないことは確かだねー」
『だから、誰だ』
要じゃない笑い声に、聞いた質問を曖昧に返してんじゃねぇよ。
つーか…誘拐犯だろうとしか思わねぇけど。
「…そっちは、黒崎さん?」
『…質問返しか、良い度胸だな』
こめかみがピクピクするほどに、オレはコイツ等が許せないのに、悠長に話すその態度。
喧嘩を売っても仕方ないと分かっているにイライラが止められない。
「ごめんね~?んでもさぁ、名乗ったところでキミ、僕たちのこと分からないからさ~」
『……』
「取り合えずさぁ、僕たちの話を聞く方が得策なんじゃない?」
チッ、と舌打ちをして、オレを見つめていた光樹にも会話の内容がきこえるようにスピーカーに切り替える。
なんとなく察していた光樹はオレと目を合わせると静かに頷いた。
『…分かった。聞く。なんの用だ』
「んー♪賢い子って大好き♪分かるよ~聞きたいこと沢山あるよね~。…ま、知ったこっちゃないけど」
『…さっきの質問は、イエスだ。黒崎はオレだ』
バカらしいから無理矢理本題に入ればまたも愉快そうな笑い声が。
どうやらコイツ等はオレを苛つかせる天才のようだ。
「アハハ、だよねー。さてとー。んじゃーこっちの用件言うねー」
暫く沈黙後、言われた用件にふざけんな、とばかりに立ち上がった光樹を宥めた。
はなからそうしてれば良かった。
オレは自分の冷静さに笑った。
『分かったよ。その代わり、要は無事に返せよ』
「ふぁーい。あの写真以上にはボロくしてないから安心してー。そっちも、約束破ったらただじゃおかないから。んじゃ、そゆことでー」
キレた携帯を眺めていると、ガッと光樹に肩を捕まれる。
「んで承諾したんだよ!!」
耳の間近で怒鳴られてキーンとなる痛みに顔を歪める。
『仕方ないだろ、なにか行動しなきゃ…時間が経つと要もあぶないし』
「だからって!!」
『…大丈夫だ。』
「大丈夫じゃねぇだろ!!」
『大丈夫だっつてんだろ!!!これはオレの問題なんだよ!!』
カッとなって怒鳴り返したオレに光樹は盛大な舌打ちをしたあと、勝手にしろ、と部屋を出ていった。