【完】放課後ビタースイート
それでも何か言わなきゃいけなくて、
「…え、あー…友達!友達待ってるんだけど全然来ないの!」
あははっ、適当に嘘をついて笑ってごまかす。
「そうなんだ。大変だね。
…あれ?水沢さん、カバンは?」
「えっ!?」
そういえば教室に置いてきたんだった。
冷や汗が背中をつたう中、どうにかこの場から逃げきゃ、という考えだけが頭を占める。
「…あ、あっ!本当だ!
あははっ、あたし教室にカバン忘れたっぽい!!」
「えっ!
水沢さんって結構抜けてるよね〜」
「いやたまたまだし!
じゃあ取りに行くから、バイバイ!」
「あ…またね!」
少し強引に切り上げて手を振ると、片倉くんが手を降る横で彼女もペコリとおじぎをした。
小さくて可愛らしくて礼儀正しくて…不覚にもお似合いだな、と思った。