【完】放課後ビタースイート
少しだけ暗さが増した橙の廊下を1人でとぼとぼと歩く。
胸に落ちた鉛は取れるどころか絡みつくように重い。
込み上げる何かを無意識に押し殺そうと唇を噛みしめる。ギリギリと。
教室に戻ってきたあたしは元いた席の窓から外を眺めた。
沈む寸前のわずかな夕日に包まれ、グランド横を帰って行く2人の姿。
「………っ…」
息が出来なくて苦しい、辛い。
胸に穴がぽっかりあくとはまさにこのことで、激しい虚無感に苛まれる。
視線を降ろすとくしゃくしゃになった手紙を震える手で握っていて。
もう渡すことのない用なしの紙の上にボロボロと涙が滲んでいった。