【短編】ユキと最後のKiss


◆◆◆


瞼越しの光を感じて、意識がゆっくりと現実へ引き戻される。

最初は眩しくて開けられなかった目が光に慣れてきて、揺らぐ視界も明瞭なものへと変わる。

起きたばかりでまだ重い身体を動かすのが酷く面倒で、頭の上にあるはずのものを手探りで探す。

すぐにお目当ての時計は見つかり、デジタルの文字を読み取った。


「6時45分。少し早いけど、起きようか」


誰にあてた訳でもない独り言をして、時計を元の位置に戻す。

ゆっくりと身体を起こすと隣には僕にそっくりな彼女が気持ちよさそうに寝ていた。

腰まで伸ばした綺麗な髪を掬い取る。

梳くと引っかかる事もなく、さらさらと通り抜けて落ちた。

雪のように真っ白な肌にスラリと伸びた手足。

夜空を映したような黒のストレートの髪と今は瞼に隠れてる零れそうなほど大きい青い瞳にいつでも潤っている色のいいピンクの唇。



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