【短編】ユキと最後のKiss


◆◆◆



「ねえねえ、あたしね、いいもの見つけたんだ」


そう言ってニッコリと笑った彼女に初めて恐怖を覚えた。


 今日は何故か、不安そうに甘えてきておかしいなとは思っていた。

家に入ってからもずっとくっ付いて回ってくるから変だなあと思っていた。

普段なら自分のやりたい事をしている彼女が洗濯ものを畳む時も、お風呂を沸かす時も、ご飯を作る時もずっと一緒という事はなかったから。

でも、それが愛らしくて僕は気にも留めなかった。

ただ、それは小さくも確かな変化で、その変化は彼女の何かが崩壊し始めている証拠だったのだと今更気づく。


「これでね、一緒に2人の世界に行こう?

ほら、そうすれば、誰も双子がどうだなんて言わないし、君のことをべたべたと触ってくる人だっていない。

これほど幸せな事はないと思わない?」



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