【短編】ユキと最後のKiss
ふらふらと頼りなく身体を動かして、彼女は僕の顔に近づき、そのまま唇に自分のそれを重ねる。
何度も角度を変えて降ってくるキスに僕はされるがまま。
それが気に食わなかったのか、唇を離し、縋るように問うてきた。
「死……ぬ、瞬間……まで、キスして……たいの……わ、たしのお……願い……聞い、て……くれる、よね……?」
その表情を見ると、彼女の最後のお願いを聞いてあげたいと思うのだから、僕も相当狂っているのだろう。
「嗚呼……もちろん……」
満足そうに笑った彼女はまた、唇を重ねる。
『はあっ、はあっ』と息も絶え絶え、何度も何度も口内を行き来する深いキスをした。
「あい、してる……ユキちゃ、ん」
「ぼ、くも……あ、いしてる……ユキ」
END