【短編】ユキと最後のKiss
徐に彼女は場所を開けると、とんとんとその場を綺麗な指で叩いた。
どうやら、此処に来いと言うことらしい。
でも、僕は動かない。分かっている事を意地悪く彼女に聞く。
「何がしたいの?」
「分かってるくせに」
案の定、恥ずかしそうに彼女は小さく言葉を零すが聞こえないフリ。
首をかしげて見せれば、彼女は悲しそうに俯いた。
それを確認して、僕はベッドの上にそっと上がる。
彼女が顔をあげた瞬間に押し倒した。一瞬の出来事に彼女は驚いた顔で固まっていたけれど、すぐに湯気が出そうなほど顔を赤らめる。
それを見て、僕は不敵に笑った。
「どうなっても知らないよ?」
「いいもっ……んっ……」
彼女がいい終わる前に、その赤い唇に蓋をして、触れるようなキスは少しずつ深く熱いものへと変わっていった――。