【短編】ユキと最後のKiss


徐に彼女は場所を開けると、とんとんとその場を綺麗な指で叩いた。

どうやら、此処に来いと言うことらしい。

でも、僕は動かない。分かっている事を意地悪く彼女に聞く。


「何がしたいの?」

「分かってるくせに」


案の定、恥ずかしそうに彼女は小さく言葉を零すが聞こえないフリ。

首をかしげて見せれば、彼女は悲しそうに俯いた。

それを確認して、僕はベッドの上にそっと上がる。

彼女が顔をあげた瞬間に押し倒した。一瞬の出来事に彼女は驚いた顔で固まっていたけれど、すぐに湯気が出そうなほど顔を赤らめる。

それを見て、僕は不敵に笑った。


「どうなっても知らないよ?」

「いいもっ……んっ……」


彼女がいい終わる前に、その赤い唇に蓋をして、触れるようなキスは少しずつ深く熱いものへと変わっていった――。



< 4 / 34 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop