君に逢えて





「あらら…

せっかくの初雪の日が


失恋の日になっちゃった…。


ー初恋だったのに。」




悔しさと悲しさが
どっと押し寄せてきて

涙と雪溶け水の区別が
つかなくなってきた。




「大丈夫ですか?」


「あっ…!」


声がする方へ振り向くと

さっき
しゅうちゃんの居場所を教えてくれた看護士さんがいた。



「…失恋って悲しいわよね。」

「なんでそれを?」


「あっごめんなさい、さっき貴方の独り言を聞いちゃって…」


そう言って
ちょっとだけ
ペロっと舌を出す
仕草が可愛くて…

「そうでしたか…」



盗み聴きをされた苛立ちが雪とともに消えていった。

喋った私も悪いし。




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