I love you~最初で最後の恋~




チャイムが鳴り、担任である先生は教室に戻らなくてはいけない。



だが、こんな姿の先生を教壇に立たされわけにはいかない。



「ヒロォ~・・・・・・」



亡くなった旦那さんを想って枯れない涙を流している。



そんな先生に水を差すようなこと言えない。



今離れるのはどうかと思ったが、少し距離を取って携帯を取り出した。



お願いだから出てよ~・・・・・・。



しばらく機械の音が聞こえると、電話が繋がった。



『どうした?』


「今沢野先生教壇に立てる状況じゃないの。副担手配して」



私が電話した相手は伊達先生。



先生なら沢野先生の為に動いてくれると思った。



『あぁ、分かった。沢野先生大丈夫なのか?』


「他の女の心配?」


『ちげぇーよ。沢野先生にも色々と事情があったらしくてな』



先生は知ってるのか。



そりゃそうだよね。きっと同僚には話してるんだろう。



なら言ってもいいのかな?



「旦那さんを想って号泣してる。屋上に居るから人来させないで」


『来させないでって、そんな無茶な』


「頼んだよ」


『あ、ちょい。おい!』



何か言いたげそうな先生を無視して電話をブチ切った。

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