珈琲に角砂糖


人気がなくなるまで彼は私を引っ張ってひたすら廊下を歩いた。


人気がなくなった階段下で彼はようやく立ち止まった。


「あっ!ごめんね!お弁当も途中だったのに...」


彼は私の腕を掴んだまま言う。



「..そんな事はどうでもいいです。それより手....離して下さい」



「あっ!ごめん!」


真っ赤になった彼は照れくさそうに手を離した。



「...大丈夫です。それより急にどうしたんですか」



「あっえっと。凛都ちゃんが泣きそうに見えたから」



私が泣きそうだった事に彼は気付いていた。



「そんな事ないです。私は大丈夫ですから戻りましょう。龍にー達が心配します」



「あっうん。そうだね!」



困ったように笑う彼と、私は龍にー達のいる教室に戻った。


< 21 / 29 >

この作品をシェア

pagetop