珈琲に角砂糖
「朝間違って凛都のお弁当も鞄入れちゃってたみたいで届けに来てみれば...。何でそう傷つけるような事言ってんだよ」
普段底抜けに優しい龍にーが私に怒っている。
私はひどく戸惑った。
「だって、だって。私は彼女が思うような優しい人間ではない。私は冷たい人間なんだ。だから、だから優しいと勘違いして私に近付けばまた彼女は傷付くだろう?そして直ぐに離れていくだろう?だから勘違いされてはお互いにとって迷惑なだけなんだ」
私は龍にーといると驚くほど饒舌になる。
「それにしてももっと言い方があるだろう?俺は凛都が不器用なだけで優しい子なのを知ってるから、人を突き放して傷つける凛都は見たくないよ」
龍にーが悲しそうに微笑んだ。
さっきの彼女のような笑顔だった。
「私は優しくなんてない。....だけど、ごめんなさい」
「凛都、わかったならいいんだよ。でも、謝るのは俺にじゃないだろう?」
龍にーがよしよしと頭を撫でてくれた。
まだ近くで固まっていた彼女に私は向き直った。
「あの、笹原さん」