レインリリー
気づいた時には堅司さんの声が携帯から聞こえていた。



「香奈ちゃん?
珍しいねーどうかした?
あっ、この間もありがとね」


「突然、すいません。今、大丈夫ですか?」


「うん、仕事終わって家だから
平気だよ」


「・・・あの、崇人の事なんですけど」


「うん?」


「何か私に黙ってやってる事がある気がするんですけど、堅司さん聞いてませんか?」


「・・・・・・」


「今日、給料日で銀行に行ったら知らない内に、お金が引き出されてたんです」


「・・・そっか。あいつ・・・」


「この間の引越しも、おかしかったし・・・」


「・・・だよね」


電話越しに堅司さんの溜め息が聞こえる。


「香奈ちゃん、あのさ、今から言うこと崇人には内緒にしてやってくれる?」
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