レインリリー
どれぐらいトイレに籠っていただろう。

侑右の泣き声が聞こえてきて
急いでカードをパンツのポケットにしまいリビングに戻った私は
崇人を促し帰り支度を始めた。

「あら、チョコは?」

まるで見えない箱かのように無視していたのに崇人母は容赦なく、そこを突いてくる。

「お義母さん、食べて下さ、、、」
あのプリクラの《MIWA》が

このカードを書いた《美羽》?



多分・・・いや、絶対に間違いない。

で、また?またって事は

1度は切れてたのか・・・。

そっかぁ。

あのネットワークビジネスに手を出したのも、
浮気に使うお金が必要だったんだね。






それで、この美羽さん

こんなフライングで
チョコを送ってくるなんて

宣戦布告のつもり・・・?
私の言葉を遮り

「あ~俺、持ってくよ」

眠くて愚図る侑右を左腕で抱き
チョコの箱を右手でヒョイと持つ

今までの私だったら
そんな崇人の動きにバカみたいに
 《カッコイー》
だなんて胸をときめかして
全てを誤魔化していたけど



あのカードを開いた瞬間に

私にかかっていた魔法は解けてしまい

もうどんな崇人を見ても生まれてくる

感情は《嫌悪感》しか無かった。。。
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