レインリリー
恋という魔法が解けて
夜通し泣いて気持ちが決まってしまえば・・・後は、早い。

目を覚ました侑右に朝ご飯を食べさせ
私は、泣きすぎてヒリヒリする目に目薬を点しアパートを出るための荷物をまとめる事に集中した。



崇人への恋は
愛や情に変わることなく
終わっていったんだ。

多分、それは崇人も同じ。

本当の自分を出せず
本音を言い合える関係になれない
そんな不器用な2人だった。


好きだからカッコつけてただけなのかもしれないけど、そんなだから気持ちはすれ違うばかりで。

あ~ぁ、失敗しちゃったな。。。

汗に混じりこぼれ落ちる
涙を拭いながら
上手くやれなかった
自分への自己嫌悪と
そんな自分が不憫で
世界で一番可哀想で

もう美羽という女の子の事なんて
どうでもよくなっていた。

いや、むしろ
崇人にそんな人が存在するという事実だけで充分で、それ以上もう何も知りたくは無かった。


私達の荷物をまとめたせいで
寝室で寂し気に佇むダブルベットを見て初めてここに連れてこられた日の事を思い出す。

戸惑いがちに崇人の想いを受け止めようと必死だった自分が懐かしい。

あの時、幸せだと感じた瞬間だけは
せめて間違いじゃなかったと信じたかった。
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