レインリリー
私は最後まで中途半端で弱い人間だ。


どこに行っていたのか今さらどうでもいいけど崇人は、お昼前に戻ってきた。


「・・・お前、出て行く気か?」


別に謝って欲しいわけじゃなかったけど狭い玄関に収まりきらずリビングまで占拠する荷物を見た最初の言葉がそれで、私はまた崇人に失望した。


「うん。。。」

「お前!俺の事、好きなんじゃっなかったのかよ――!!」


吠えるように怒鳴られても私の心には虚しく響くだけで。


「昨日、あれを持って帰るって手にしたの見て、悪いけど私達がもう無理だって分かったよ。
浮気してたとしても私への気遣いが少しでもあれば、食べないし、持ち帰ったりしないよね?」


しかも、それを持ってどこかに出かけて行ったし。
友達にでも自慢してたのか?彼女の所に行ってお礼でも言ってきたのか?

どうでもいいけど、

もう全てがサイテーだ。


「せっかく作ってくれたから・・・」


勿体ないとか、そんなくだらない理由で私を傷つけて平気でいられる崇人と一緒に生活していくのは
魔法が解けてしまった今となっては、ただ辛くて息苦しいだけ。


「崇人と居ると…すごく疲れるの。落ち着いたら連絡するから」


そう言い残し、アパートを後にした。


「ガッシャーン」「バリーン」


物の壊れる人為的な音がしたけれど
それはもう、私には関係の無い事だった。。。
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