レインリリー
「何なんだろう(笑)
しょちゅう奥さんの愚痴言って、
いつもあんな感じだよ。
俺らには分からない大人の事情があるんじゃない?今日は、疲れたでしょ?
もう帰ろうか」

と従業員の出入り口に案内してくれた。

「前が開いてない時は、ここから入ってね」

重そうな倉庫横の扉を開けてくれている大久保さんにお礼を言い、

「大久保さん下の名前は何て言うんですか?」

「篤。じゃ、また明日な!!」

「はい。お疲れ様です」

軽く頭を下げ
駐車場に消えていく背中を見送る。

大久保 篤(おおくぼ あつし)さん。

崇人より1つ歳上か。

まだ学生なのに
すごく大人っぽい。

バイト初日の感想は、
仕事の内容よりも
大久保さんの事が多くを占めていた。
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