レインリリー
「吉川さん、今日飲まないんですか?」


タバコの灰を人差し指でトントンと落としている彼の前に
今日はウーロン茶が置かれていた。


「俺、今日、車なんだ。
帰り送ってこうと思って」


灰皿のタバコが青っぽい煙を立ち上らせている。


「あんまり遅くならない方がいいだろ?」


「あっ、うん。ありがと」


「せっかく車で来たしドライブでも行く?」


軽く頷くとすばやく会計を済ました彼は
吸いかけのタバコを立ったままギュッと潰し
上着を羽織ながら
「出るぞ」
と私を顎で促した。

無駄がナイ。

そう、彼の行動は自信に溢れ
男らしい。

だけど・・・

彼が足早に去ったカウンターで
消したはずのタバコから
細い煙がうっすらと揺らいでいた・・・。
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