レインリリー
初夏の夕陽を浴びて
車内に光を反射させている
それは・・・


ブランドのキーリングが付いた
シルバーの鍵だった。


「香奈に」



差し出され反射的に
受け取ってしまったけど・・・
崇人の体温で少し暖かい
それの存在に戸惑いを感じて
冷たい汗がにじんできた。





こんな気持ち、
気づかれちゃ、いけない。。。


「アパート、決めたの?」
「どこ?」
「家賃いくら?」


次々と言葉を重ね誤魔化す私を、
喜んでいると勘違いした崇人は

「今から連れてくから、
そんな興奮するなって」

そう照れたように笑って
私の頭をクシュクシュした。
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