レインリリー
駅から車で走ること20分。
それは、
住宅街の中に忽然と姿を現した。

築5年というそのアパートは
2つの細長い棟が向い合せに建っていて、建物の前が駐車場になっている。

周囲の古い街並みから見たら
そこだけ外国のような異空間、
そんな場所だった。

「家の近くにこんな場所があったんだ~」

周囲をキョロキョロする私に

「な?ケッコーいいだろ。
まあ、中も見てみてよ」

2階へと促され階段を上がると
<203>と書かれた右手の部屋を指差し

「さっきの鍵、使ってみ?」

言われて
握ったままだった鍵を差し込む。

スムーズに半転し


ガチャ。


思ったより大きい音と共に
ドアが開いた。
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