レインリリー
そのまま・・・



私の唇に崇人の薄い唇が触れる。



肩で切りそろえた髪を優しく撫でながら、
くりかえされるキス。


唇が吸い寄せられる音と
荒くなるお互いの呼吸音だけが



何も無い部屋に響き渡る。。。



崇人の手が
ゆっくりと下がってきた時


「ん・・・ダメ」


流されそうになる気持ちを抑えて何とか言葉を発した。

「何で?」

不思議そうに尋ねる崇人に

「まる見えなんだもん。
カーテン無いから・・・」

窓の方に視線を動かしながら言うと
崇人もそっちに視線を動かし

「あっっっ。
ホントだ。。。くそーーっ」

私の横に引っくり返り
足をバタバタして暴れながら笑っている。

こんなにはしゃぐ崇人を見るのは初めてで
こうやって
今まで知らなかった崇人が知れるなら
アパートで通い妻もイイかも♪
なんて思った自分を

数年後・・・
苦い気持ちで思い出す事に
なろうとは・・・

この時の私は、
思いもしなかった。。。
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