レインリリー
俯いて小声で答えると

「そっか。なら、いいんだ。
香奈ちゃんの自由が無いように見えたから心配になったんだけど
本人がそれでイイなら俺らがどうこう言う事じゃないし。
まっ、何かあったら俺でも安達にでも相談しなよ」

私にフリーペーパーを
「ハイ」と手渡し
ちょうどレジに来たお客さんを
接客する姿は
いつもの大久保さんに戻っていて
私も、午後からの仕事に
ようやく取りかかった。






崇人が1人暮らしを始めてから
土曜日はアパートに
泊まりに行く事が多くなっていた。

この日もバイトが終わって
1度家に戻って明日の準備をしてから
崇人の部屋に向かう。

トントントン

アパートの階段を登る自分の
この足音が
非日常的で―――なんだか好きだ。
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