レインリリー
そう言ったくせに
やっぱり、俺もそこまで送るかなと
大久保さんも私達と一緒に店の出口まで歩く。

「香奈ちゃん、大人しくなっちゃって、
どしたの?」

私の顔を覗き込み酔っているのか
珍しくふざけた感じで聞く大久保さんに私は、上手く言葉を返せず少しの間をおいて

「ちょっと眠いだけです」

思いっきり子供っぽい
そんな返事をした。


「ふ~ん?
なんか、彼が香奈ちゃんをカゴの中の鳥みたいに扱うの・・・正解かも」

意外な言葉が大久保さんの口から出てきて

「どういう意味ですか?」

思わずムキになり突っかかると
まあ、落ち着けよって、、、
私の両肩を2度トントンと叩き

「俺なんかの送別会で、
すごく寂しそうにしてるから。
もし、俺が自信過剰の遊び人だったら・・・
勘違いしちゃいそうだったよ。
今度からは、気をつけな」


―――大久保さん、気づいてたんだ。


お酒のせいか
いつもより締まりない顔で
ニッと笑い

「彼氏に疑われたくないから、消える。後は安達よろしく」

言いたい事だけ言って、
大久保さんは戻って行った。
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