レインリリー
9時を少し過ぎて迎えにきた崇人は
不機嫌そうで
車内でも口数は少なかった。


それも、予想通りだったから
なるべくいつも通りに接しようと


「お迎え、ありがとうね」


空気の重さに鈍感なフリをして
お礼を言う私に


「お前、タバコ臭っっ・・・」


顔をしかめ
私に冷めた視線を向ける崇人だけど
こんな顔すら

『カッコイイ』

と思ってしまう整った顔立ちに
つい、
グサッときた心の傷を
ごまかしてしまう。


「ごめん。リーベン煙草吸う人多いから・・・」
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